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ケラリーノ・サンドロヴィッチの作・演出で宮沢りえ、鈴木杏、犬山イヌコ、堀内敬子、水川あさみ、峯村リエ、小池栄子のゴージャスな女優7人の会話劇! これはもう観るしかないと必死でチケットを取り(演劇の人気作品は発売後瞬時にチケット完売)東京の日比谷シアタークリエで観劇してきました。
舞台上にしつらえられたのは洋館のリビングらしき部屋と庭、納屋。20世紀半ば、東西の内戦下にある田舎町の洋館に住む一家は兵器製造で財を成したものの、家長である父親は病気で瀕死の状態にある設定です。
物語の中心になるのは作家の姉マーゴ(宮沢りえ)と妹のドミー(鈴木杏)。そこに家政婦のネネ(犬山イヌコ)、母のグルカ(峯村リエ)、父の秘書兼看護人のソフィ―(水川あさみ)、マーゴの熱烈なファンで異国から訪ねてきたナッツ・ブラウニー(小池栄子)、マーゴの担当編集者ミロンガ(堀内敬子)が絡み、女同士で時に言い争い、時に慰め合いながらスピーディに物語は展開。約3時間、あっという間という言葉がぴったりの面白さでした。
舞台転換がほぼない会話劇なので下手な演者が一人でもいたらダレますが、登場する7人全員がなにせうまいから目が離せない。物語が進むにつれ各人のいろいろな秘密が暴露されていきますが、説明ゼリフがないのに分かりやすいのはさすがケラ作品。
登場人物はみんな、物語の中でドラマティックに変化していきます。セリフの言い回しと巧みな演技で心の動きを表現した7人にはあっぱれと言うしかありません。ラストの終わり方も強烈で、もう一度観たくなる傑作でした。
ケラさんはいつもプロットをあらかじめ考えずに書き進めるそうですが、どうやったらこんな物語を思いつき、ここまで見事に描ききれるのか……天才はやっぱり違うと感心。ケラ作品の追っかけは続けようと決意を新たにしました。
ちなみに途中、舞台上に「人でないもの」が突如現れ、物語の鍵を握ります。そこに全く違和感がないのは役者の演技力とケラ演出のたまもの。
東京では3月23日まで、その後は福岡・博多座、大阪・サンケイホールブリーゼで上演されます。機会があったらぜひご覧ください!
●『骨と軽蔑』サイト https://www.keracross.com/keracross5
執筆者:本間千英子
新潟市出身。大学で映画脚本を学び、卒業後は東京でほんの少し邦画制作と宣伝に携わりました。幼少時から映画、ドラマ、演劇、本などを支えに生きる還暦フリーライターです。ここではエンタメ全般のオススメ作品と旬の話題もご紹介します!
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