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いい女の条件には「ひとりでごはんを食べに行ける」と、「ひとりで行けるバーがある」というのがあると思う。
新潟女性は、お酒が強いのもあって、これができる人が結構いる。
じゃあ新潟市内で「初めてのひとりショットバー」でおすすめは?と考えたとき、最初に思い浮かんだのが、この店。
板塀に囲まれ、坪庭を眺める隠れ家バー。
オーナーは、古き良き時代の古町花柳界を知る芸妓さんなのです。
女性がひとりでバーに行くのは結構な勇気が必要だ。
行くなら若い輩がいないこと、店の造りに品があって、居心地がいいこと。
そこそこ静かで、大人のひとり客が多いこと、いいバーテンダーさんがいること、が条件。
そしてで、できれば、そう高くないお店がいい。
そんなお店、どこにある?と思うけれど、実はちゃんと新潟にある。
このお店があるのは、古町通りから六軒小路を入った先の路地沿い。目印は、板塀に灯る小さな灯り。その脇にある潜り戸を開けるのは、最初はちょっと勇気が必要だが、引き戸をあけると、目の前に現れるのは風情ある坪庭。
そして入り口の先に、美しい白木造りの空間が待っている。
こちらのお店のオーナーは、昔ながらの古町芸妓さん。
その昔、京都の祇園と並び称された新潟の古町花柳界が、日本の政財界や文豪たちの間で評判だったのは有名な話。特に古町芸妓は、芸に秀で、きっぷがよく、気さくなのに礼儀正しく、なにより情に厚いと全国に知られていた。
そんな女将が「昔ながらの古町花柳界の風情を残したい」と、昔は置屋だったという建物で、ほとんど趣味のようにこだわって開いたのが、この「Bar杏」。
わざわざ遠く村上市から宮大工を呼び寄せて作ったという、網代天井や掛込天井、百年前の細工障子など、細部にまで意匠が凝らされた店内は、茶室をイメージしたそうだが、古町花街にあった古い待合のお座敷の風情も。
ちょっと感動したのが、お手洗いなど微細にいたるまでこだわっているところ。
こんな贅沢な空間でありながら、チャージが1500円、お酒も700円から用意されている。
これでホントにいいの?と思うが、「庭を眺めながらお酒を楽しんでいただければ、それでいいんですよ」と女将。
気さくな女将との会話を楽しみに訪れる女性客も多いというが、女将は隣にあるとびきりおいしい「酒亭久本」の女将でもあるので、普段はバーテンダーの坂詰さんがひとり。ひとりで行っても、一杯だけでも、ちょうどいい距離感で対応してくれる。
もし女将に会えたらラッキーだ。
ひとりで行くなら、おすすめは開店すぐの夕暮れ時。
まだ誰もいないカウンターで、窓からの坪庭を飲みながら眺めるのは、最高に心地よいひとりの時間だ。
以前、フランスでカメラの仕事をしていた友人が、『仕事が終わったら必ずどこかお店に寄って一息ついてから家に帰るの。そういう時間は大事よ』といっていたが、このお店は本当にそれにぴったりだなと思う。
昔ながらの古町花柳界の風情を今に伝える店だけに、たまに帰省した友人知人を案内するのもおすすめですよ。
Shot Bar 杏
tel/025-222-1661
住所/新潟市中央区西堀前通9番町1538
営業時間/18時~25時
定休日/日曜
料金/チャージ1人1,500円、ドリンク700円〜
編集プロダクション株式会社プレッセプレッセ代表。企画編集、取材、ライター業、書籍に広告なんでもやる「サメ」。シングルマザーで独立し、編集集団プレッセプレッセを設立。元・月刊キャレル編集長。
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