おしゃれと。

【新潟県新潟市中央区】 板井商店

酒屋で呑む禁断の味!?初めてのひとり角打ち体験

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なりは小さいが度胸はある50代。 年を重ね、どこへ行くのもひとりは平気。 
そんな私でも、ハードルが高くてこれまで一歩踏み出せなかったのが女ひとり(女じゃなくても)では、なかなか行きにくい“角打ち”。 
角打ちの一端をちらりとご紹介。 

“角打ち”とは酒屋の店先で呑むこと。 「立ち飲み」の元祖ともいわれている。 
新潟市のしもまちでは、角打ちのことを“もっきり”とも呼んでいたらしい。 
「盛り切り」=盛った分だけという意味か? 
江戸語に“モッキリザケ”なる言葉があるそうで、それもまた粋な響き。 

角打ち初心者はまずここへ
酒屋の奥の秘密基地

新潟でも呑める酒屋が増えているが、酒屋の店先で呑むって……どうなの?
初めて角打ちするなら新潟市中央区、新潟潟県庁前にある板井酒店さんがお薦めと聞き、いざ、初体験。

入店したのは14時過ぎ。

店内には新潟の地酒がずらり。
勇気を振り絞りレジで「ここで呑めると聞いたのですが」と声をかけてみると、「どうぞー」と明るく対応してくれる。

まぁ昼間から、しかも女ひとりで酒を呑むって、変な人に思われないだろうか……といつまでも悩んでいる方が怪しい。
スカッと声をかけるべし。

立って呑むのかと思っていたが、店の奥にテーブルがあり、座って落ち着いて呑むことができる。
8人くらいは座れそう。
こんな広いテーブルにひとりで使っていいのでしょうか?
「いいですよ〜」。
心の中を読まれているかと思うほど、ちょうどいい合いの手を入れてくれる。
この絶妙な距離感がありがたい。

ルール

テーブルの上には「店内飲食のルール」が。
多分どこの店の角打ちも、店にあるお酒を選んで、その都度支払う前払い。
珍味やお菓子も購入し、おつまみとして食べることも可能。

つまみ
スナックも缶詰も豊富で、ビールでも日本酒でも何でもこいのラインナップ

まずは缶ビール。
プシュッと開けて吞んでいるとお店の奥さんや娘さんが付かず離れず、絶妙な距離感で「どこから?」なんて、気さくに話しかけてくれるのがありがたい。

絶滅寸前の“上がり酒”を
今に伝える酒屋の心意気

昭和14年からここで店を構えているという板井酒店。
「県庁ができる前、この辺りには工場があって昔は3交代制の仕事終わりに、うちの店の裏でビール箱ひっくり返して呑んで帰るんさ。
もともと上がり酒文化があったんだろうね」と板井社長が登場。

時代とともに、店の裏での上がり酒はなくなったが、仕事帰りのバス待ちなのか、お酒を買って「店の前で呑んでいい?」冬になれば「寒いから中で飲んでもいい?」と聞かれることが多くなり、「じゃあテーブル置こうか」と今のスタイルになったんだとか。

つまみ酒

開店中ならいつでも、開店の朝8時30分から呑めるというのもすごい。
朝早くから呑んでいる人はいないそうだが私のように噂を聞きつけて、しかも県外からやって来る人もいるのだそう。

テーブルの他にも座れるスペースがあって、さらにテーブルを出したり、予約が入ることもある。
だから予約札も用意しているそう。
夕方になるとそれこそ仕事終わりに寄っていく常連さんもいて、仲間内で一升瓶をボトルキープしているグループも。
手作りの札を瓶に引っ掛けるのがお約束。

数年前からお客さんたちの間で自然発生的に始まったのが “せんべろ”的角打ち。
テーブルに1,000円札を置いて、その中からやりくりするんだとか。
それなら呑みすぎず、酔いどれないし、お金も使い過ぎなくていい。
そんな仲間がいるなんて、うらやましい。

新潟は車通勤が主流だから、上がり酒をしにくいのは事実。
昔はお風呂屋さんもたくさんあって、仕事終わりにひとっ風呂浴びてから、一杯帰るという地域もあったらしい。
そんな上がり酒文化として、改めて角打ちが見直されているのか……。

夕方になり、そろそろお仕事帰りの人が来るかな、とソワソワしていると「ここは常連さんも、初めての人でも、気が付くと皆で昔からの知り合いみたいに呑んでたりするんですよ。
皆さんいい人ばっかりで、閉店時間もちゃんと守ってくれるんだよ」と社長の板井さん。
こちらは店の目の前にバス停があるので、帰りも安心。
テーブルの横にあるタヌキの剥製に見守られ話をしながら、気が付くと日本酒も空いちゃいました。

お客さん?ご親戚?にいただいたというタヌキの剥製がいい味出してます。店のどこかにいるので探してみて。

そう、角打ちに長っ尻ご法度。ぱっと呑んでさっと帰っていく……。
そんなカッコよく呑める大人を目指して、気になっていたお酒も買いこれからも角打ちめぐりにいそしみたいと思います。

外観

店舗情報

板井商店
住所/新潟県新潟市中央区出来島1-5-47
営業時間/8時30分~18時45分
定休日/日曜、祝日、盆、正月
HP/http://www8.plala.or.jp/sake-itai/

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石川 まゆみ Mayumi Ishikawa
この記事を書いた人

独特の変なファッションセンスで闊歩する姿は、大阪のおばちゃんをも凌駕する。初対面でも平気なのもしかり。花、酒と犬猫をこよなく愛でる。大好きな唐揚げ取材から始まったライター暦は16年。

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