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【新潟県新潟市中央区】 敦井美術館、NSG美術館

年の初めのお出かけは美術館へ

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冬はこたつでヌクヌク。
それはそれで幸せなのですが、
思い切って外へ出て目の保養はいかがでしょう。
新しい年を迎え、めでたく、
元気になれる2つの展覧会をご紹介します。

新潟駅から最も近い美術館で新春の寿ぎを堪能

新潟駅から徒歩3分で行ける「敦井美術館」は日本画や陶芸ファンにはたまらない美術館。

新潟市の実業家・敦井榮吉氏が半世紀余りにわたって収集した美術品を、年4回の企画展で展示公開しています。

横山大観や速水御舟、土田麦僊などの日本画や、ピサロやロートレック、黒田清輝などの洋画の他、陶芸が特に多く、重要文化財の板谷波山作「彩磁禽果文花瓶」をはじめ、富本憲吉、楠部彌弌ら3巨匠のコレクションが特長です。

現在、新春特別展として3月9日(土)まで開催しているのが、工芸品を中心とした「新春工芸名品展」。どんな作品が迎えてくれるのでしょうか。ほんのちょっぴりご紹介します。

幸せを呼ぶ吉祥門の工芸品

楠部彌弌「宝船置物」

珊瑚や打出の小槌、掛軸と財宝を積んだ宝船。金彩と色絵が目が覚めるほど鮮やかな、おめでたい陶芸作品です。

作者の楠部彌弌(1897~1984年)は京都で作陶を学び、1924年にパリ万国博覧会に出品した作品が受賞。その後、帝展から文展、日展を中心に活躍し、1978年に文化勲章を受章しました。

島田亮斉「萬歳」

2人の男性が楽しそうに舞っています。顔や鼓の彫りの細かさに目を奪われつつ、朗らかな表情にこちらまで踊り出したくなる気分になります。

この木彫は岩船郡岩船町(現村上市)出身の島田亮斉の作。島田氏は名匠・有磯周齋の教えを受けた後に、社殿堂宇や山車などの製作に携わりました。岩船大祭屋台の見送り彫刻も彼が手掛けたものです。

前田青邨「不二」

「一富士二鷹三茄子」、夢に見ると縁起が良いとされる一番が「富士山」。初夢では見られなくても、ここでじっくり目に焼き付ければ、きっと良い1年に。

前田青邨(1885~1977年)は岐阜県中津川市の出身で、歴史画を主に花鳥画や肖像画など幅広い作品を残した日本画家です。東京藝術大学の日本画科主任教授、後に名誉教授となり、平山郁夫など後進の育成にも尽力しました。1955年には文化勲章を受章しています。

思わずにっこり、そしてほっこり気分が上がる展覧会

新潟駅から今度は日本海方面へ約3㎞。海と松林の傍らに建つ白壁の建物がNSG美術館。

新潟で活躍している現代アート作家の企画展を楽しむことができます。

そして年に1回開催される、美術館所蔵の新潟市出身の日本画家、粛餐寶(しゅくさんぽう)の作品展は必見! 今年は1月20日(土)から2月29日(木)まで、特に多く描かれた「生きもの」が主役です。

孤高の画人・粛餐寶が描く「生きもの」たち

粛餐寶「吉祥如意」

今回の企画展は、ユーモラスで愛らしく、なおかつリアルに迫った「生きもの」たちが勢ぞろい。

こちらは子どもたちが象に乗せてもらっています。象は眼差しが優しげで、身を鈴で飾った姿が神々しく、ありがたい心持ちになります。

日本画家・粛粲寶(1902~1994年)は上京して洋画家の黒田清輝に学び、その後、日本画家の小林古径に師事します。一度絵から離れ、奈良の古寺で寄宿生活を送ったことで、彼の世界が確立。花鳥風月・人物画、仏画を独特な画風で描き、会派には属さず独自の制作活動を展開したことから“孤高の画人”と呼ばれたそうです。

粛餐寶「仙産三穜」

こちらは鹿に子どもたちがまだがっています。行儀よく座った鹿たちの凛とした表情と鮮やかな配色に目が釘付けになります。

今回の企画展では粛粲寶が正月ごとに干支を色紙に描いてお世話になった方々に配っていた干支色紙も展示されるそうです。

紹介した2つの展覧会は全くタイプが異なりますが、どちらも見終わった後に、1年を力強く生き抜く力を頂いたような、そんな気持ちになれます。

展覧会情報

「新春特別展 新春工芸名品展

会場:敦井美術館
住所:新潟県新潟市中央区東大通1-2-23 北陸ビル1F
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:日曜、祝日
観覧料:一般500円、大高生300円、中小生200円(土日は無料)
開催期間:2024年3月9日(土)まで
問い合わせ:025-247-3311

「粛粲寶の生きもの展」

会場:NSG美術館
住所:新潟県新潟市中央区西船見町5932番地561
開館時間:10時30分~18時(入館は17時30分まで)
休館日:月曜(祝日または振替休日の場合は翌日)
観覧料:一般300円、学生200円、高校生以下無料
開催期間:2024年1月20日(土)~2月29日(木)
問い合わせ:025-378-3773

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駒村 類 Rui Komamura
この記事を書いた人

東京でテレビディレクターとして報道・ドキュメンタリーに携わるが、出産のためUターン。2010年から雑誌の編集・執筆を行う。事実婚のため戸籍上はおひとり。自分と動物に甘く、人に厳しい。

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